黄色いヒヤシンス

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 球根の下、すれすれのところを水に浸けていたらどうなるか。毎日、押入れのドアを開けて、私は様子を観察していた。  日が経つにつれて、球根からはだんだんと、沢山の白いひげのような根っこが伸びてきた。  そして…… 「わぁ、芽が出た!」  私は声を弾ませた。球根からは緑のツノのような芽が、にょきっと顔を出したのだ。  それは、おばあちゃんからお誕生日プレゼントにもらった、ヒヤシンスの球根だった。ヒヤシンスのお花は、良い匂いがして、とってもきれいらしい。お花の色は咲いてからのお楽しみだと、おばあちゃんは言っていた。  ヒヤシンスは、水栽培という育て方ができる。球根を瓶の上に置いて、私のお部屋で育てることができるのだ。だから、私はしばらくの間、それを暗い押入れの中に入れていた。そうすることで、球根に、土の中にいるのだと錯覚させていたのだ。
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