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『欠けた鞄』
ー序章ー
「続いてのニュースは…。」
ふと、テレビをつけると報道番組の男性アナウンサーの声が聞こえる。
あーもう無理。こんな人生。今まで、家庭までもって《フツウ》保ってきたはずなのに。私の、選択や言動。もし、過去に戻ってやり直せるとしたら一体どこをどうすれば良いというのだろう。そんな手に負えない現状に私は声にならない悲鳴をあげた。
第一章 「流れゆく道」
結婚、夫、愛…。今は、そんな言葉をきくだけでうんざりしてしまう。それはなぜかって?言うまでも無い。だが、私は思う。
これが、すべての始まりだったと…。
ー23ー年前
「ごめん!遅れて…。」
「ううん、私も今来たばかりだから大丈夫だよ。」
そう、今の夫隆彦と交際してから初めてデートに行ったのは、晴天が清々しいそんな春の日だった。
今、振り返れば全てが輝いていたし、この人なら私の支えになってくれるというどこか目に見えない安心感があったのだと思う。
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