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「流れていく道」
後日、夫から謝ってきたことで私もなんとか矛が収まり冷静になれたので、夫の話を再びきくことにした。
夫曰く娘が3歳頃のときから、精神的に限界がきていたらしく同僚や上司に心ない言葉をかけられ、パワハラやアルハラその他にも同期複数人から何度もいじめを受けていたらしい。社にあるカウンセリングができるところにも何度か足を運び心理カウンセラーに相談したこともあるそうだが、結果はいまいちで、根本的な解決やサポートまではさすがにしてくれなかったそうだ。私達、家族に言うのも悪いと気を遣っていたらしく、辛い思いを一人で抱え込んでいた為、夫は涙ながらに話していた。
なぜ、限界がくる前に妻である私に相談をしなかったのか…。私は、問い詰めたい思いもあったが、夫のことを考えた上で、
「それは、心中複雑でとても辛かったよね。ごめん…。あなたが思い悩んでいるときに気づいてすぐ支えになることが出来なくて…」
と声をかけた。 すると、夫が
「ああ……。もう、良いんだ。それは……相談しなかった俺も悪かったし。しかし、本当に急なことで、申し訳ない。だが、俺からは事前に父さんにも、お前のお義母さんにも辞めることについて伝えてある。だから、そこは大丈夫だ。でも、富和里にはまだ伝えていないから俺たちふたりで伝えよう。」と言った。なので、私は、
「ええ、そうねぇ…。富和里には後できちんと伝えるとしてあなた、会社を辞める月はいつにする?」
「それも、あるな。今が、10月だからせめてそこまでは働くとして11月末頃に辞めようかな…。」
「わかった。じゃあ、11月末に辞めるのが私も1番だと思うわ。まあ、年明け前の方がバタバタしないし、今まで、お世話になった人達にもしっかりお礼を伝えられるしね。
何よりやめるまで、多少期間があったほうがあなたの心の整理もつきそうですし。」
「やはり、そうだよな。最後まで真剣にきいてくれて助かるよ。直美ありがとう! 」と夫に礼を言われたので、私は、
「いえいえ、妻としてできる限りのことをしただけよ。気にしないで!」と返した。
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