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「流される道」
ピピピピピピピピピ…!
毎朝、6時に設定している目覚まし時計が騒々しく規則的に鳴り響く。
私は、反射的にそれで目が覚めいつものように体が動く。動いても、体は鉛のように重いが、なんとかして朝食の準備や身の回りの掃除にとりかかる。
体がやっと楽になってきたら今度は心の奥底がずんと沈むように感じた。
どうやら、昨日の話を引きずってし心が低迷しているに違いない。 しかし、思い詰めても仕方ないので、私の次に起きてきた娘に努めて明るい声で、
「おはよう!あら、今日は起きるのいつもより早いじゃない。何かあった?よく寝れたの?」と尋ねた。
「ううん、別にまあまあ寝られたよ。ただ、昨日は、トイレに行くついでに少し起きてただけ。」
私は、そんな娘の言葉にギクリとしたが、言及したほうが余計怪しいのでとりあえず平静を装うことにした。
娘と他愛のない話をしていると、夫が起きてきた。
「おはよう…」と言ったので、私も返答をした。夫は、見るからに寝不足に見えたが昨日のこともあるとして、あえて野暮ったい質問をしてもなんなので、何も言わないことにした。
それから、3人で黙々と朝食を食べ、夫と娘はある程度身支度をしてから、夫が先に玄関の前にむかう。
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