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言い訳
ひよりは自分を追いかけて来てくれた関の行動が嬉しかったので関と一緒にたまたま近くにあった喫茶店の中に入った。
「いらっしゃいませ。お二人様ですね。お好きなお席へどうぞ」
二人は店内に入るとたまたま目に入ったテーブルの席に座った。
ウェイトレスは二人が席に着くと水を運んで来た。二人はブレンドを注文した。
「ごゆっくりお寛ぎください」そう言うとウェイトレスは立ち去った。
ウェイトレスが立ち去るとひよりは聞いた。
「何話って?そう言うつもりじゃない本当の話って何?あんなに結婚する気じゃないとかそれに先輩から聞いたんだけど、私が結婚迫って来て困る俺は結婚する気ないのにとか言ってたらしいわね。それなら私に直接言えばいいじゃん始めから結婚する気ないって!いつ私が結婚迫ったよ!ありえないからそんなに嫌なら別に付き合わなくてもいいから!会社である事ない事言いふらすような人の神経疑うわ!普通はしない」ひよりの怒りは収まらなかった。
「ごめん本当はひよりちゃんに言いたかったんだ俺はひよりちゃんが研修が終わって工場に配属されて来て数日経った頃ひよりちゃんは覚えてないかもしれないけど俺が困っていた時助けてもらった事があるんだ。その時からずっとひよりちゃんの事が好きだったんだ。でもひよりちゃんは全く俺には興味なくて俺はひよりちゃんが好きだから他の人に告られてもその都度断ってきたんだ。
最近ずっと思っていたんだ。時期がくればひよりちゃんと結婚したいプロポーズしたいどう言ったらいいかずーっと考えていたんだ。弟に紹介したのもその為なんだ。俺の両親は早くに亡くなった。だから親戚に結婚したい女性がいるって話しているんだ。俺を信じてほしい。ひょりちゃん以外の女性は考えられない」
ひよりは「なら普通変な事みんなに言う?それに今言った事本気?」
関は言った「本気だよ。本気で考えてプロポーズしようと思ってだんだよ。それなのにみんながからかい半分でいろいろ言ってきたから恥ずかしくて言っただけだよ。ひよりちゃんが結婚迫ってるとかおおばーに言っちゃったんだよ。ひよりちゃん以外考えられない。
頼むもう一度チャンスをくれ、僕はずーっと好きだったんだやっと付き合える事ができて嬉しいんだ。ひよりちゃんを誰にも渡したくないんだ。側にいてほしい頼む」
関はテーブルの上に頭をつけて両手をテーブルの上に乗せて何度もひよりに謝った。
その姿を見たひよりはこの時21歳だった。頭を下げる関に「わかった頭を上げて周りの目が気になるから」そう言った。
関はひよりのその言葉を聞くと頭を上げてにっこりと微笑んだ。
まだ若いひよりには何度も男の人が頭を下げるなんてプライドを捨ててまで自分の事を思って言ってくれたんだー。もしかしたらちょっと関が言った言葉に尾鰭がついて会社中にまわったのかもしれない。こんなに謝って頭を下げてるんだから。
ひよりは心の中でそう思っていた。
まだ若いひよりは何も知らなかった。
モラハラ男はターゲットに逃げられないようにする為に何度も頭を下げる事、そして時には優しく時には冷たい態度を取る事。
絶対に逃げないように口で誤魔化す事、ひよりは何も知らなかった。これがモラハラ男が必ずする行動だと言うことも……
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