就職

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就職

 笠倉ひよりは高校卒業後高校3年の時小松高校で就職活動をしていた。  そして、校内の就職先募集の広告を見て就職を決めた。  今日は1980年4月1日念願の会社の入社式だった。  ひよりは高校時代からバイトはよくしていたので働く事は苦ではなかった。 そんなひよりが働き先に選んだのは工場だった。  工場なら土日は休みになるだろう。休憩時間もしっかり決まった時間にもらえるだろう。  高校時代工場のアルバイトをしていたひよりは単純な気持ちでペンを作っている会社に就職した。  大手の就職先を担任が勧めたが大手だと仕事がきついのではないか?  場所も自宅から遠いし……そう思ったひよりはこの小さな工場を選んだ。  そして何より選んだ理由は辞める人が滅多にいないと聞いたからだ。そしてもう一つ理由があった。  同じ学校の先輩が多数入社していると聞いたからだ。  このクラスでも何人か同じ会社を希望している人がいた。  ひよりは同じ学校の人が何人か入社するなら安心だと思っていたのだ。  ひよりはその時、この会社に入った為に大きく人生が変わってしまうとは思ってもいなかった。  入社日当日は希望に満ちていた。 お金を早く貯めて一人暮らしをしようその為の就職なのだから……ひよりは入社式の日緊張してドキドキしながら椅子に座っていた。  のちに夫となるあの上司に出会うまでは普通に仕事をして普通に飲み会に行って普通に生活していた筈だった。のちに夫になる男は二つの顔を持っていた。 続く
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