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上司
新入社員はひよりを含む6人の女性だった。
松永ちえみ 須田めぐみ 大原好子 石田幸 野田陽子 そして笠倉ひよりの6人だ。
6人は入社した3ヶ月間新人研修で仕事の事を上司から指導を受けていた。
機械のスイッチの入れ方や製品のまとめ方など覚える事はたくさんあった。
この時は初めて顔を合わせた同期とお喋りをしたり仕事を覚える事が楽しかった。
6人は研修が終わると工場の現場で仕事を始める事になった。
その時に現場の責任者として紹介されたのがのちにひよりの旦那となる関秀人だった。
ひよりが関に対する印象は最悪なものだった。
仕事中いつもチャラチャラしている印象に見えた
関は他の女性に声をかけながら仕事をしてる上司だった。しかも「今度の休みどこか行くの?彼氏いるの?趣味は何?俺は釣りをしてるんだよねー」
と毎日女性に話しかけていた。
見た目若く見えるこの関という上司を25歳くらいだろうとひよりは思っていた。
それに「自分は独身だけど弟二人はイケメンですぐ結婚したんだーと弟の写真を見せながら、俺は両親が早く亡くなったから弟達を俺が育てたんだ料理も作って立派に社会人にさせたんだ」
と聞いてもいないのに会社中の女性社員に話していた。
私と同期の大原さんは何となくその上司と距離を置いた方がいいと感じていた。
ひよりは大原に言われた「なんか関さんっていつもあんな感じでチャラチャラしてるよねー。ちょっと苦手だなー。結婚したら子供置いてさっさと逃げるタイプじゃない?」
ひよりも「本当ね。私も苦手だわー家族持ったら奥さんと子供が苦労しそう」
「ねえねえ関さんってさー若く見えるけど30歳なんだってよーそれで俺彼女いないとかみんなに言ってたよ」
「そうなんだー。普通さー自分で彼女いないとか弟の写真見せて自分で苦労話とかする?ちょっと変わってるよねー」
この時、距離を置いた方がいいと身体が拒否したのはたぶん関の二面性の性格を本能でわかっていたのだろう。
ひよりは振り返るとその本能を信じて近づかない方がよかったと今、後悔していた。
入社して一年ひよりはどうしても関の事が苦手で近寄らないようにしていた。同期の大原も同じだった。このまま苦手のままずっと仕事で話さなければいけない時以外は距離を置いておくつもりだった。
ところが一年経った後からある出来事をきっかけに近づく事になってしまった。
それは、一人の女性の先輩と会社の人達が言った一言から始まった。
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