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アパート
数ヶ月すると司法書士との手続き保険の手続きや不動産の手続きが全て完了した。
ひよりは秀人に相続の事はいっさい話さず、お墓の移動などにお金を使い他の事にはいっさいお金をかける事はしなかった。
ひよりは知り合いにも何も言わずに質素に暮らしていた。
相変わらず秀人は暴言を毎日のようにひよりにぶつけた。そして最後にはいつもひよりに言った
「おめえは保証人いねえし金ねえからアパートは借りられねえ俺がいねえと生きていかれない」
そして今日も秀人は仕事から帰宅するとひよりに言った。「おめえの両親は馬鹿だから金残してないおめえは俺にここで従うしかねえ」と大声でひよりに言って罵倒した。
ひよりはこの日初めて秀人に言った「私、家出るから」
そう言うと秀人はひよりに怒鳴った「だいたいどこに住むんだよ!保証人いねえ金ねえそんな奴にアパート貸してくれるところあるかよ!俺がいねえと生きていかれねえだろう!」
ひよりは言った「私アパート決めて来たから、言ったでしょう?後悔しないようにって他に使い道があるからってね」
「俺の通帳は?金は?」
ひよりは結婚後の貯金の半分が入っている秀人名義の貯金通帳を渡した。
「はい、これ半分の貯金ね」
秀人は言った「こんな額でやっていかれるのかよ?直ぐに貯金尽きちゃうよ?アパートの家賃代だって毎月かかるんだから」
ひよりは言った「それは結婚したあとの2人の貯金の半分誰がお金ないって言った?両親から相続ないって言った?あなたが私が質素だからって勝手に思っていただけ、しばらくの間はアパート借りて生活できるお金は今の私にはあるの。
あなたはいつも誰の金で飯食ってるんだ!3食昼寝付きだ!とか言って俺に従わねえと給料あげねえとか言ったけど、今の私はあなたよりお金があるの!あなたがいなくても生活できるの!引越し業者に依頼したから今月末出てくから」
秀人は「えー。俺よりお金が?あんなに質素に暮らしてたのに?考え直してくれよお前がいないと駄目なんだ」
ひよりは言った「私はあなたがいない方が伸び伸び出来て幸せなの!この幸せの為に質素に生活してたんだから!今の私には暴言の録音も収めてあるからね訴える事もできるのよ。とりあえず家を出る事にしたから」
「えー保証人なくても借りられるの?」
ひよりは「言ったでしょう。あなたは時代遅れだって」
すると秀人はひよりに言った「俺、仕事してると疲れて飯作らないよ。食べないよ。それでもいいのか?餓死してもいいって事なのか?俺を餓死させる気か?」
ひよりはすっかり愛情も興味もない秀人にはっきりと言った。
「あなたが食べようと食べまいと私には関係ない。だいたいいい大人が食べないけどいいか?何て聞く事自体幼稚!何で私があなたに怒鳴られながら料理作らないと駄目なわけ?あなたの為に料理作らないといけない理由なんてないわ!あなたが作って食べればいいでしょう。私が食べなこれとか決めないといけないわけ?」
そう言うと少しづつ荷物をまとめていた。
「それじゃあ落ち着いたら国民年金事務所に相談に行くから。
それじゃあ保険の事とか書いておくから。
まだ引越しまで1ヶ月あるから」
その日から秀人は「もう一度やり直そうよ。家庭内別居続けていけば大丈夫だよ」
ひよりは秀人に言った「そんなこと言ってももう騙される今までの私とは違う!これ以上しつこければ弁護士雇って訴えるわよ!こっちには証拠もたんまりあるんだからね」
ひよりは1ヶ月後長年住んだ家を出て埼玉の小さなアパートで一人暮らしを始めた。
暴言と暴力がない生活は心にゆとりが生まれた。
秀人と住んでいた頃は家の電話も玄関のチャイムも秀人は出る事はなかったひよりが具合悪くても無理やり玄関出ろと言われたり病気のひよりにそんなのたいした事ない大袈裟と秀人は言って罵った。
ひよりはもう旦那の為に無理しなくていいんだ。
病院で蹴っ飛ばされないんだ。
階段から突き飛ばされる事もないんだ。
ひよりはアパートに住んでからぐっすりとよく眠れるようになっていた。
ここから新しい生活が始まる
ひよりの心はわくわくしていた。
完
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