黒髪魔女との出会い

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黒髪魔女との出会い

帝国歴1924年 西の帝国から  大勢の黒髪の魔女が深黒の闇の中 大空を渡って大陸を移動した 魔女の間で使われていた移動魔法陣は 魔力の消耗も激しいため使うことが出来ず 人知れず 息を殺し仲間が犠牲になりながら  自由のために安息の地を求めて、、、 西の魔女が手の届かない東の大地に向かった 西の帝国では金髪の魔女が 莫大な魔力量を使い 皇族皇帝の力も飲み込み絶大な力をつけていた 鉱石の地 西の帝国を牛耳り 敵対していた黒髪の大魔女は 金髪の大魔女との戦いに敗れたため 国を出たとも言われていたが 自分達の子供達を守るため国を脱出した 逃げ切った黒髪の魔女達は 安息の地として 東の海に囲まれている 小さな国アンダーミヤ国に 降り立った 東の国では知られていないが 黒髪は 魔女の証 そして大いなる力を持つ大魔女は赤目をしていた それから数十年  アンダーミヤ国は 国土は小さくとも自然豊かな美しい国 海に囲まれた特性を生かして 貿易も盛んに行われていた 特に魔法石を加工し 『スペック』として輸出されていた この世界では魔力が使われており その力を増強させたり 魔力道具を動かしたりするエネルギーとして用いられた 魔法石は普通の人では魔力が多すぎて触ることさえ出来なかった 多くの国ではたとえ 魔法石が発見されても 適正の大きさにすることが出来なく 負の遺産として処理されていた だがアンダーミヤ国に降り立った 黒髪の魔女は 魔法石から放出される魔力を抑えることが出来 自らの魔力で分解加工ができた 黒髪の魔女達が来てからは  魔法石を 国外に輸出し 利益を得ることに 国内では 魔法道具の開発と進展に使い  より良い国に発展させていった 現在の国王デンジゼル・スパン・カロリータ殿下の妻は 黒髪の美しい女性 黒髪の魔女の子孫だ アンダーミヤ国 アリーシャ王女7歳の誕生日 宮殿ではお祝いの舞踏会が開かれていた そこには 招かれた多くの各国の来客人そして 東のハンガオグ帝国 皇太子と第二王子それに宰相とその側近も 数日前から視察も兼ねてアンダーミヤ国に訪問していた 東のハンガオグ帝国 エリザード皇太子11歳  金髪でブルーの瞳 弟のガーラ王子5歳 銀髪でパープルの瞳 とてもめでたい日にも関わらず 国内では珍しく 星の光すら見えない深黒の夜空が広がっていた 黒髪の魔女にとっては 負を思い出させる深黒の夜 「アリーシャ王女様 おめでとうございます」 人々からのお祝いの言葉を 頂きながら 無邪気に微笑むアリーシャ 国王と王妃に愛情一杯に育てられ 心優しくそして美しく育ったアリーシャ 国王似の大らかな性格と 王妃似の美しい黒髪そして 赤い目がルビーの様に輝き誰しもが目を奪われていた その中で初めての外交で訪れた ハンガオグ帝国の皇太子と第二王子は歳が近いせいもありすぐ打ち解けて遊ぶようになった 子供には 退屈の舞踏会の中 隠れて庭園に 大人たちをよそに楽しく遊んでいた 「ガーラ王子様 エリザード皇太子様こっちに来てください」 「ほらほろ見てみて 美しい夜花が咲いてます」 「この花は 月の光も星の光も見えない深黒の夜にしか咲かない花なんです」 目の前には 辺り一面 黄金に輝く花【ネパージュ】が咲き乱れていた 「アリーシャ王女 初めてみましたこんな花」 エリザード皇太子が答えた 深黒の夜にしか咲かない花=魔女の花とも呼ばれている 多くの同胞を亡くした 大魔女が同胞を弔うため この地に植えた魔女の花 深黒でなくなった同胞が 迷わず黄泉の国へ行ける様にと、、、 月の光も星の光の必要とせず 自らの力で黄金の光を 放ち風に飛ばされた花粉もキラキラと道標のように眩く輝く その中で転がりながら 遊ぶアリーシャとガーラそれを見つめるエリザード  3人とも花粉まみれで 光り輝き深黒の闇の中でも美しい 「これからは 頻繁に訪れるよ」 「この国のこともっと知って行きたいんだ 私の国にはないものが多すぎて 全てが新鮮だ」 「この国の魔法道具も 使いやすいようにどんどん改善されていく とても素晴らしい技術だ」 次期皇帝の資質が 幼い時から備わっていたエリザード皇太子は 多くのことに目を配り 取り入れる その反面 弟のガーラ王子は物静かで何を考えてるのかわからなく 二人の後をいつも追いかけていた 「僕も一緒に来る アリーシャに会いに来る」 そう言うとアリーシャに抱きつくガーラ その可愛らしい仕草に 7歳のアリーシャはメロメロだ 「ガーラ王子様は本当に可愛いですね」 「ずーっと一緒にいたいくらいです」 アリーシャもガーラを抱きしめる アリーシャに抱きつかれ頬を染めるガーラ その光景を 暖かく見守るエリザード  皇帝から 時期皇帝として幼い時に選ばれた エリザード皇太子は 兄弟争うことなく 仲の良い兄弟として育たられた 「そろそろ会場に戻りましょうか」 エリザード皇太子が促す 「ガーラ王子様 手を繋いで戻りましょ」 手を差し出す アリーシャ ガーラも口角を少し上げて微笑む 「はい」    
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