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アリーシャとガーラが手を繋いだ瞬間だった
地響きのような雄叫びが聞こえてきた
深黒の夜空に 黄金の魔法陣が突如現れる
移動手段として用いられていた魔法陣だか 魔力の消費が激しくて
並の魔力使いでは扱えないほど それに物質が大きければ大きほど
魔法陣も大きく設定しないといけないため 魔力を使う
雄叫びを聞いた会場の人達も外に出てきその光景を目にすることに
大きく広がる魔法陣から出てきたのは 今まで見たこともない魔獣同士を掛け合わせたキメラだった
魔獣特有の赤い目と 禍々しい黒いツノ ドラゴンの様な風貌だが
身体棘に覆われていた
何度も雄叫びを 発しながら
ゆっくりと魔法陣から飛び出てくる様子を
人々は逃げることも出来ず女性達は
腰を抜かしその場に座り込み動けなくなっていた
もう一度その魔獣が雄叫びと同時に炎を上げたその時
人々は一斉に大声で叫びながら会場の中に避難することに
3人の子供たちは 護衛騎士たちに抱えられ会場に戻ろうとしたが
その魔獣は 魔女の花の花粉で光るアリーシャ目がけて 飛びかかる
人の何十倍もある体で アリーシャを求めて
身体の棘をアリーシャの護衛騎士そしてアリーシャを守る騎士達に
めがけて放たれた
目の前で 守ろうとした騎士達が 次々と倒れ込み
アリーシャを抱えていた騎士の背中に何本も棘が突き刺さり
そのまま吐血 力尽きアリーシャを抱えたまま倒れ込む
ガーラ王子とエリザード皇太子を抱えていた騎士は助けることさえ出来ず
二人の安全のため会場に その様子を見ていた国王と王妃が
娘の元に駆けつけようとするが静止され
王妃は涙を流しながら 手を伸ばすしかなかった
アンダーミヤ王国の騎士たちが 何人も王女の助けに向かうが
その魔獣になすすべなく 一人また一人と犠牲になった
自分のために 死んでいく光景に瞳を開いたままのアリーシャ
全身に犠牲者の血を被り 声も涙も出ず目を瞑ることさえ出来ないでいた
ゆっくりとアリーシャに近づく魔獣 アリーシャも背中でひしひしを重圧を感じながら魔獣の舌がアリーシャを捉えた時 初めてアリーシャの体が震え
か細い声が出た
「もう 誰も来ないで、、、」
多くの騎士が目の前で亡くなる光景を見て 「助けて」ではなく
「もう 誰も来ないで」っと自分が助からないことを見越して発した言葉だった
アリーシャは 耳元に魔獣の吐息を生臭いを感じると
ゆっくりと瞳を閉じることができた
死を受け入れる
数分前まで 楽しかった光景が今は惨状となり
瞳を閉じてもその残像が残りアリーシャを苦しめる
両手を胸の前に組み 頭を垂れその時を待った
その光景を国王と王妃は叫びながら 見るしかなかった
【黒髪の大魔女アリーシャ 我と来い】
【その力 我のために、、、】
魔獣は人間の言葉など発することはできない
なのにこの魔獣は 直接頭の中に話しかけてきた 人間の言葉で、、、
怖くて閉じた目を開き 後ろをゆっくりと振り返る
真正面に何十倍もある魔獣の顔 口周りも血の色に染まり
赤い瞳が 震えて恐怖に滲むアリーシャを映し出してた
【アリーシャ我が主人の元へ】
そう告げると 魔獣は大きく口を開きアリーシャを飲み込もうとした
その時
聖堂から大勢の黒髪の魔女が現れて 手を前にかざしながら
結界を張り巡らせるその結界を嫌がるように 魔獣は一歩また一歩と後退りしながらアリーシャから離れていく
魔女たちも魔獣を囲みながら 魔女の手から放たれる幾千もの青く輝く結界の糸を 魔獣に絡ませてジリジリと魔獣を締め付けていく
苦しそうにうめき声を出しながら 少しつつ少しつつ体にめり込む結界
魔女たちもその結界を作るのに魔力を消費しているため限界に達した者達から
倒れ込んでいく
一人一人、、、また一人
それでもなお王女を救うべく魔女達は 魔力の結界を消すことなく
その輪に王妃も加わり最後の力を振り絞り結界を最小化していく
その光景は 誰しも初めてみる光景だった
アンダーミヤ国の黒髪の魔女の存在は 公にはなっていなかった
この存在を認めると 黒髪の魔女を求めて近隣諸国が押し寄せてくるからだ
黒髪の魔女の力 各国で眠る魔法石を抑えることの出来る力
聖女と同じ力が使える存在が アンダーミヤ王国では数十人もいる
誰しもが欲する力
だが王女を助けるためにはその力を隠したままには出来なかった
魔獣も最後の力を振り絞り声を
出そうとしたが くちばしを縛り上げられ最後は 無言のまま消滅した
アリーシャ王女7歳の誕生日
この日を境に全てが変わった
アンダーミヤ国は アリーシャとそれに国にいる黒髪の魔女達を守るため
国外との交流を遮断することとなる
例外なく国内を出ず 国外から入れず
それに移動魔法陣が使えないように黒髪の魔女の力を使って
国全体に 結界を張り巡らせた
そんな時代が15年続いた
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