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食事を終え、陽太と風花はタベルナを出た。
その二人が居なくなった店内で、一人の常連客が呟いた。
「俺の家さ、成犬のゴールデン・レトリバーと子猫のマンチカンがいてさ」
話し出した常連客に、近くの常連客が反応する。
「ゴールデンがマンチカン大好きなんだよな。」
「へぇ。まぁ、犬と猫で仲良しなのはイイな。」
相槌を打つと、話し出した常連客も嬉しそうに話を続ける。
「で、大型犬種が子猫を舐め回すわけ。そしたら…子猫は下手したら転がって回るんだよな。」
その様子が、いとも簡単に想像出来、みんなして笑い始める。
「何なら“フギャーッ”って鳴いて抗議するんだよな。舐められるのは“嫌い”じゃないけど、転がるのは“嫌”だろうし…」
話を聞く限り、ゴールデン・レトリバーとマンチカンは本当に仲良しなんだろう。
「そしたらゴールデン・レトリバーがションボリするんだよ。」
「体格差があり過ぎるって訳か」
何とも和む話である。
「…で、よ。…陽ちゃんとふうちゃん見てたら…思い出したわ。」
「何を?」
少し察する事が苦手な常連客が、ゴールデン・レトリバーとマンチカンの話をする常連客に聞き返した。
「大型犬“ゴールデン・レトリバー”と子猫の“マンチカン”の痴話喧嘩。…今さっき、目の前であったじゃん」
正に、さっきあった『稲森陽太劇場』の事だ。
その言葉に失礼だと思いつつも、既に当人達が居ないこともあり、常連客とオーナーは笑った。
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