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やり残した事
――ピンポーン……ピンポーン。
真新しい5階建てのマンションに俺は来ていた。
黒、白、ベージュの3色を纏った外観からして、オシャレ感が漂っている。さっきすれ違った住人も、やたら上品な服装してたな…。
一階の共用玄関でインターホンを押すも、応答がない。
「やっぱ、いないかぁ? 今日仕事だっけ?」
俺は左手の白い腕時計に目をやった。
電車の中で気がついた事だが、普通のデジタル時計同様に時間と日付、曜日も表示されていたのだ。今日は火曜日だった。
もどかしい気持ちになりながらも、仕方なくその場を離れようとした瞬間に、エントランスの自動ドアが開いた。
「えっ? 航太郎!?」
腹の底から驚いたような声を出し、こちらを見ていたのは……姉の明奈だった。
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