やり残した事

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「あ、あぁ〜。言ってたよ? うん、ちらっとね」 姉は訝しげに俺を見るも、すぐに笑顔になった。 「じゃあ、また連絡するから。汐里ちゃんによろしくね! あ、あんた実家にも顔出しておきなさいよね。いつも私が航太郎の事聞かれるんだから…」 姉はそう言い、面倒そうに口を尖らせた。俺は薄ら笑いを浮かべながら「うん」と曖昧に頷き、部屋を出た。 「……実家か」 ポツリと呟き、空を見上げた。茜空が徐々に濃紺に染まっていく。小さな星を見つけながら、俺はゆっくりと歩き始めた。
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