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「ちょっと、君? ここで何してるの」
パッと向けられた懐中電灯の光に、思わず顔をしかめる。声をかけてきた相手は、お巡りさんだった。
「あっ…す、すみません。ちょーっと考え事してて」
苦笑いをしながら、俺はクジラの中から這い出てきた。お巡りさんは呆れたように「早く家へ帰りなさい」とだけ言って去っていった。
「家なぁ…でもなぁ…」
俺は腕組みをしながら、その場を何度も行き来した。
友人の家を頼るには、さすがに遅い時間だったし、何より交通費が地味にかかる。
思い浮かべては消していく、そんな作業をしながらウロウロとしていた。
「あ…待てよ? 困ったら確か…」
ふと気がつき白い腕時計を見た。
これの扱いについて説明を受ける中で「水色のボタン」が天音さん達と繋がる手段だったはずだ。
俺はそのボタンをポチッと押した。
すると微かな振動と共にボタン部分が点滅を始め、すぐに点灯に変わった。
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