ちょこ走る

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スーパーで手作りチョコ用の大き目サイズを二つ買った。 一つは家に持ち帰る為、そしてもう一つは、この謎の生き物『ちょこ』に 食べさせる為だ。 そうして俺は自宅ではなく、とある古いアパートへと向かい、鉄骨の 階段を上がり、二階の部屋の呼び鈴を鳴らした。 「へーい」と、僕より年上の男性がドアを開けて出てきた。 「おまえ、誰?」 「裕の兄です」 「裕ちゃん?」 「気安く呼ばないでください、あんた裕のストーカーでしょ?」 「はあ?」 「これ、証拠写真」と、スマホの画面を見せる。 学校帰りの裕の後ろで、電柱から隠れて覗いている場面だった。 「妹にもしっかり相談されてます。尾けてくる人物がいると。 それで裕は寄り道せずに真っ直ぐに帰るようになって。 いつも僕より早く帰宅してる。そして、いつも不安がってる。 あまりにも気の毒だし、兄として守りたいから、あなたを調べました。 間違いなくあなただ」 「あのさあ、それは.....」 僕はスポーツバッグの中身を開けて『ちょこ』のロープを外した。 「ちょっと、人の玄関先で、なにしてんの?」 「まあまあ、はい、これあげます」 男へとチョコレートを差し出すと、反射的に受け取った。 ちょこはチョコレートへと走って飛びついていった。 ちょこは......。 その男とチョコレートを吸い込むようにして食った。
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