ちょこ走る

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電車内でドアのそばに立って、改めてノートをみる。 『日記』と、表紙に書かれてあった。 このネット社会において手書きで日記?レトロですなあ。 だけど、あげるって?中身ごとって? とりあえず中を開けてみる。 最初の数ページが破られている跡があった。 そして最初になっているページに『こんな日記をみつけた』と、ある。 『下駄箱の近くにあるゴミ箱に日記帳が捨てられていた。 校内で捨てるなんてツメが甘すぎって思いながらページを開くと ページは破られてあった。 え?なにこれ、すごい、動く!』 「動く?」 確かに動いたので「うおぅっ!」と、叫んで、車内の注目を浴びた。 下校時なので、同じM高校の制服たちが、こちらを見てくる。 「難しい公式みちゃった~っ」なんて、聞かれてもいないのに言ってみる。 そして再び日記帳を開けてみる。 鉛筆で描かれた『人』っぽい小さな黒い絵のキャラが、ノートの上下左右を 行ったり来たりしていた。 「うっそだろ~っ」と、今度は小声で言った。
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