ちょこ走る

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改めて日記を読むあいだにも、ちょこは開けているページで動く。 『ちょこがチョコ食べる、ちょーウケる! 楽しくて、わざわざコンビニに出かけて、たくさん買ってきた。 しかも色々な種類を』 あの女の子、好奇心旺盛だなあ。 『イチゴ系、チョコクッキー、アーモンド入り、ミルクチョコ、 どれも食べたけれど、首をかしげたりした。 スタンダードなミルクの板チョコが好みらしく、食べたあとに 楽しそうに小走りした。』 「あぁ、さっきのはスタンダードなチョコだったよなあ」 『やだ、大きくなってきた、どうしよう......。』 「へ?」 『チョコをあげればあげるほど、ちょこの身体が大きくなってきた。』 「食うと育つわけ?」 『日記帳の両ページいっぱいの大きさになった! 真っ黒になった!』 「マジかあ」 『日記を深夜のバスルームで燃やしてみた。 仏壇の線香をつけるライターで。』 「えぇっ?」 『燃えなかった。』 「えぇっ!」 一人の部屋で一人でリアクションしている僕は、なんなんだ。 『ページを破ることはできた。だけど、ちょこは逃げる。 破くと別のページへと飛んでいく。 そうか、拾ったときにページが破られていたのは、 あたしと同じことをしたんだ......。』 「なるほど」 『日記帳を紐で縛って数日経った、開けてみると、ちょこは 元の小さいのに戻ってた。食べさせ過ぎるとダメなんだ。』 「なるほど」 『なんだか飽きてきた、育て過ぎるわけにはいかない。 育てる楽しみがない。』 「そりゃそうだ」 『電車の座席に置いて、忘れたフリをして捨てよう。』 「そういうことかーっ!」 『でも、もう少し様子をみてみよう。』 「みるのかよっ!」
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