ちょこ走る

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『音楽をかけながら勉強してたら、 うるさいって部屋に怒鳴り込んできた。 真面目に勉強してるのに文句を言われる筋合いはない。 ボリュームを下げなさいと言ってきた。 このくらいの音が集中しやすいのに。 このバカ娘って言われて、カッとなってチョコレートを投げつけた。 チョコは、お母さんの顔面に命中した、そのとき。 ちょこが開いてたノートから飛び出して走って、お母さんに飛びついた。 そのまま、お母さんごと吸い込んだ......。』 「うそ、だろ......」 チョコさえあれば何でも巻き込むのか? 『翌朝、お母さんがいないことを、お父さんが不思議がってた。 ちょこのことを言おうとして、やめた。 あたしが殺人犯にされてもイヤだ。』 『お父さんがついに警察に通報した。胸が痛い。 お母さんを食べてから大きくなっていたちょこは 日が経つにつれて元の小ささに戻っていった。』 『日記帳ごと、ちょこを捨ててしまおう。 電車でわざと落とせば、まったくの他人が拾うだろう。 これでアシはつかない。 学校の下校時間だと、知ってる連中ばかりになる。 明日は、自宅とは反対方向の電車に乗ってみよう。 M高校の路線なら、接点が無い。』 「それを拾ったのが、僕というわけか......」 全てが納得できた。
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