ちょこ走る

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僕は、あの女の子より好奇心旺盛だ。 閉じていたノートを開き、かなり大き目のチョコのカタマリを置く ちょこが、すざまじい勢いでチョコレートを吸い込んでいった。 頭らしき部分が巨大に膨らみ、モクモクと動いている。 そこから。 両ページいっぱいに膨らんできて。 ページから飛び出して来ようとしている。 黒いものが立体的になってきて、手らしい部分を机に置いた。 僕はそれを掴んで引き出した。 そして用意していた登山用のロープで縛りあげていく。 学校で登山部に所属しているのだ。 縛ったそれを、スポーツバッグの中に入れる。 「自分が襲われるかもって、ちょっと冒険だったけど、 チョコを持ってなかったから?かな?」 安堵して、スポーツバッグを持って玄関へ向かう。 「お兄ちゃん、こんな時間に出かけるの?」 裕が風呂上りでバスタオルを頭に巻いてパジャマ姿になっていた。 「あぁ、うん、まだスーパー開いてるだろうから、チョコ買ってくる」 「真面目なんだか、不真面目なんだか、夜道、気をつけてね。 あたし、怖くて絶対に行けない」 「当たり前だろ、女の子は夜道なんて歩かせられないよ。 じゃあ、行ってきまーす」 僕は玄関でスニーカーを履き、ドアを開けて外に出た。
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