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とんでもない過大評価な気がするが、断言されてしまったので否定しにくい。それにこんなイケメンに褒められると、何だか照れてしまう。
「……ええっと、瀧月朗さんと呼べば良いのか?」
「ふむ。ワシの苗字は忘れたが、古龍天剣流、第三十二代目、瀧月朗だ、以後よろしく頼む」
口調の通り瀧月朗は、元の世界では齢八十を超えているご年配の方だそうだ。確かにステータス画面にも八十七歳とあった。
ちなみにこの瀧月朗、この数日で若い肉体に戻って感覚が鈍くなったとかで、今の今まで体の感覚を研ぎ澄ませる修行をしていたとか。顔だけではなくバックボーンもラノベの主人公を張れるスペックだ。レベルも既に49とか、規格外すぎる。
(元剣豪異世界で飛び級、いわゆる俺tueee系主人公の王道パターン!)
「それで、『ぱーてぃ』の件はどうだ?」
「……俺個人としては仲間が増えるのは嬉しいが、陽菜乃と相談してからの返答でもいいだろうか?」
「ああ、もちろんだとも」
俺と陽菜乃の二人だけだと正直不安だったので、瀧月朗の提案は戦力的に有難い。というか一気に勇者パーティーに俺が加わった感じだ。だが少しだけ不安なことがある。
仲間になるかもしれないなら、俺のバグのことは隠しておかないほうが良いだろう。
「あー、それと俺は呪い持ちではないんだが、ステータス画面がバグっているのかレベルが中々上がらないんだ。だから今後もパーティーでやっていく中で、俺だけ差が開くかもしれないがその分は――」
「その『れべる』だが、あの土蚯蚓は少なくともレベル25以上でなければ即死する魔物じゃ。それを相手取って、なおかつ倒してもいる。『れべる』で目に見える数値ではそうかもしれぬが、ワシには貴殿は弱いとは思わんし、強さに見合った鍛え方をしておる」
「そう言ってくれると助かる」
「なに、ワシが認めた男じゃ、心配なんぞしておらん」
元武人に言われると、少しホッとした。俺だけレベルが上がらないことを後になって切り出せば、パーティー自体の存続に問題が出る可能性がある。それならと最初に打ち明けたことが瀧月朗としても好印象だったようだ。
(――にしても、火力特化型かつ即戦力になる瀧月朗が仲間になるかもしれないと思うと、頼もしい)
「ところで煌月殿は、元の世界に帰れると思うか?」
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