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ぼこっ、ぽこ、ぼこぼこ、――断続的に生じてはぱちん、と弾ける、どろどろとしたあわ。
それと並行して、あわが生じた個所のまわりでは、肉が融け、爛れ、液状化を進行させていく。
そのおぞましい現象は、みるみるうちに全身へと侵食をし、所々で、やや黄色味を帯びた骨の姿までもを露わにさせていた。
……しかし。
いわば「生」をつかさどる器官――心臓を擁する胸郭の中央付近では、また別の光景がみられた。
そこだけが唯一、自然法則への反逆ともとれるような、あまりにも冒瀆じみた腐敗や、損壊をまぬかれていたのだが――唐突に、ぼごっ、という激しい音が響いたことによって、短すぎる平穏は放逐される。
そこに、『花』が出現していた。世にも醜怪な、『花』が。
正確には、咲いた状態ではない、つぼみ、と形容すべきものである。
体表組織のもとで高まった内圧によって筋繊維は断裂し、あたかも最初から、今しがた飛び出てきた蕾部を取り囲む萼であったようにして、その奇怪な異物に追従をしている。
――この身体の、『新たな持ち主』へと。
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