ネタバレ禁止アプリ

会議

　都内にある高層ビルの一室。
　ここに大手出版社の社長らが集まり、会議を開いている。
　議題はネタバレ対策である。
　出版不況が叫ばれる中、漫画の売り上げは至って好調であり、特に電子書籍の売り上げには目を見張るものがある。
　だが、それに比例し、ネット上に無断で画像をアップロードする者が、増えてきたように思える。
　SNSや動画サイトの隆盛も、それに拍車をかけているのだろう。
　特にネタバレは出版社側の頭を悩ませていた。
　内容について、おしゃべり感覚で簡単に述べるのはいい。感想を述べるのもいい。
　出版物の話で盛り上がるのは大いに結構。
　だが、画像をアップロードし、内容の詳細を述べることについては、受忍限度を超えそうになっていた。いや、既に超えているかもしれない。超えていないのなら、今、この場にいるわけがない。
　読者が楽しみにしていた話を、購入前に知られてしまうことにより、売り上げが減ってしまう可能性がある。
　しかも、こうしたネタバレによって閲覧数を稼ぎ、広告収入を得ている者が何人もいる。
　出版社側にとって、この事実は許せなかった。
　こちらに入るはずの収入が、犯罪者、すなわち、著作権侵害者の手に渡ってしまうからだ。
　ただでさえ出版不況で苦しんでいるというのに。
　そこで、彼らは会議を開くことにした。