2人が本棚に入れています
本棚に追加
2
伊香多門が医師として働いている伊香医院は入院するベットがなく、いわゆる診療所だ。病院はベット数が20以上で、それなりの設備とかないと病院とは名乗れない。
義父で院長の伊香一郎は内科の医師で専門は消化器系だが、内科の範囲ならウェルカムで患者を診ている。
多門は神経内科と形成外科の認定医だ。
弟の加門は義父と同じ消化器内科の認定医となった。
「俺は神経内科と形成外科の認定医になるから、加門は消化器内科な」
「分かったよ、兄さん」
みたいな会話で決めたのだ。
伊香医院の建物は古くなっていたので、多門が神経内科と形成外科の認定医になったのもあり建て替えをした。
明日から伊香医院は新規開業なのだ。
新しい伊香医院は3階建てとなっていて、1階が診療所で2階は看護師や職員の休憩所や食堂となっている。そして3階は伊香家のスペースだ。
駐車場は10台が駐車できる。
今日は多門の30歳の誕生日パーティーで、明日は新規開業パーティーの予定なのだ。
(俺の誕生日パーティーも明日の新規開業パーティーと合同でいいのに。いや、もう誕生日パーティーなんか不要なんだよな)と思う多門だが。
「多門がいるし加門が消化器内科の認定医になってくれたから、これからはゆかりと長めの旅行もできるな」
「そうですね、あなた。事務とかは弁護士で税理士の礼紋がいるから安心だしね」
「そうだな」
「でも、兄2人は医師で妹は弁護士で税理士って、本当に凄いわ」
「そうだよな、本当に」
(まあ、俺が弟や妹を天才にしてやったからだけど)と思う多門。
実は多門は前世の異世界で医療魔法が使える医師をしていたのだ。ポーションも作ったりしていた。
そして、公爵の娘と結婚させられた。しかしながら結婚相手は性格も容姿もやばい娘だったのだ。
なので前世の多門は顔を変えて地方へ逃げて農民として暮らし、死ぬまで独身だった。
なので、異世界転生した今世では「もう、結婚なんてしない」と多門は決めている。結婚が怖いのだ。
前世で魔法医師だった多門は今世でも医療魔法が使えるので、弟と妹の神経を魔法やポーションでいろいろやって天才にしたのだった。
もちろん1日では不可能だ。10年はかけて天才にした。
地球は魔素が薄くて魔法の効果が弱いのもあるが。
弟と妹の肉体も長年の医療魔法により強化されていて、オリンピック金メダリスト並の身体能力となっている。
しかし多門は2人に「いいか、俺たちは伊香医院で働くのが使命だ。身体能力を見せびらかすなよ、下手にプロのスポーツ選手やオリンピック選手にされたら困るからな」と洗脳していたのでそのへんは大丈夫だった。
もちろん多門の身体能力はそんな弟と妹を軽く凌駕している。いわゆる超人となっているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!