#15

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 小1の夏休み、ショッピングモールの1階にある駄菓子屋さんで、同じクラスの尚史(ひさし)くんとバッタリ会った。 「あ…」 「あれ、尚史くんじゃん」 「遥子(ようこ)ちゃん1人?」 「お母さん、今並んでる」  私は向かいのファーストフード店を指差した。 「ふぅん…じゃあさ、ちょっとこっち来てよ」  そう言って、尚史くんはレジに向かって歩き出した。 「…これやるの?」 「くじ引いてみたいんだけど、今これしかないから」  尚史くんは少し恥ずかしそうにお金を払って、100円のアクセサリーくじを1回やった。 「あーあ…1出そうと思ったのに」  残念そうに呟きながら、引いたくじと引き換えに15番の場所からエメラルドグリーンのおもちゃの指輪を抜き取った。 「うわー…綺麗な宝石だね」  私がそう言うと、尚史くんはその指輪を私に差し出した。 「…あげる」 「え、良いの?こんなにキラキラしてるのに…」 「だって僕…こんなの使わないもん」 「そっか、そうだよね?じゃあ…貰っちゃっても良いのかな?」 「だから、良いって言ってんじゃん」  尚史くんは笑いながら私の手の平に指輪を乗せた。
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