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小1の夏休み、ショッピングモールの1階にある駄菓子屋さんで、同じクラスの尚史くんとバッタリ会った。
「あ…」
「あれ、尚史くんじゃん」
「遥子ちゃん1人?」
「お母さん、今並んでる」
私は向かいのファーストフード店を指差した。
「ふぅん…じゃあさ、ちょっとこっち来てよ」
そう言って、尚史くんはレジに向かって歩き出した。
「…これやるの?」
「くじ引いてみたいんだけど、今これしかないから」
尚史くんは少し恥ずかしそうにお金を払って、100円のアクセサリーくじを1回やった。
「あーあ…1出そうと思ったのに」
残念そうに呟きながら、引いたくじと引き換えに15番の場所からエメラルドグリーンのおもちゃの指輪を抜き取った。
「うわー…綺麗な宝石だね」
私がそう言うと、尚史くんはその指輪を私に差し出した。
「…あげる」
「え、良いの?こんなにキラキラしてるのに…」
「だって僕…こんなの使わないもん」
「そっか、そうだよね?じゃあ…貰っちゃっても良いのかな?」
「だから、良いって言ってんじゃん」
尚史くんは笑いながら私の手の平に指輪を乗せた。
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