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「もう一度会いたいとずっと願っていました。約束してくれたでしょう、アルフォンス殿下。再び会えたらこの腕に抱いて、あのときのようにくちづけを……」
「待て、何の話だ!」
熱に浮かされたように言葉を紡ぐカインを押しとどめる。
「ふざけたことを言うな。俺は知らない。人違いだ」
震える身体を悟らせないように殊更に声を張りあげる。
別れた恋人と勘違いでもしたのだろうか。
我を忘れたのかもしれない。
そうはいってもこの場で、しかも停戦交渉の相手に対して無礼千万なのは否めないが、人違いと結論づけることでアルフォンスはようやく落ち着きを取り戻した。
突如剥き出しにされたカイン王の得体の知れない劣情が、まさか自分に向いているなど考えられないではないか。
「つ、月も高くなった。やはりこのような遅くに伺うべきではなかったな。カイン王もお疲れなのだろう。ああ、きっとそうだな」
明日の朝出直す──早口で述べて王に背中を向けたときのこと。
「お待ちください、アルフォンス殿下」
あの力強さで腕をつかまれた。
奪われた唇の熱が蘇り、とっさにアルフォンスは身を縮める。
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