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「ジジは?」
「きっとまた屋根裏ですよ。僕も最後にお別れを言いたかったのですが……」
がらんとした家に一人で居るのが寂しくて始めた猫の預かりボランティア……その最後のコがジジで……戌飼さんは雨の夜に道路脇で蹲っていたジジを救出し保護猫のNPOへ申し出て、NPOから預かりを委託されたのが私だった。
ジジは弱り切っていたので、彼も泊まり込みで私のフォローをしてくれて……長い夜が明けた朝にジョグしながら帰宅するのが日課となった。
戌飼さんが靴を履きいよいよお別れと言う時に、黒い影が飛んで来て彼の背中を駆け上がった。
ジジだ!
「最後まで爪を立てられたましたね」
彼のその言葉に涙が出るほど笑って見せた私は……ドアが閉まると同時に突っ伏して泣いた。
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