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それから2週間後の日曜。
保護猫の譲渡会に私はジジとボランティアで参加していた。
私の足元で愛想を振りまいていたジジが突然、黒い影となって走り出しベージュのカシミアらしきコートの背中をバリババリと駆け上がった。
慌てて飛んで行くと
あの、懐かしい声が聞こえた。
「ジジ!! 相変らずのお転婆ぶりだね!」
追って来た私と目が合うと、彼は深く頭を下げた。
「あなたには長い間、本当にご迷惑をお掛けしました」
「あの土地の事、知っていたのですね?」
「すべては僕の父と当時の役人が暗躍した事が発端でした。あの土地は人が住んではいけない場所だから、区画の全てを僕は買い戻したのです」
あの土地が汚染土壌と知りつつも彼は足繫く通い、そこでできた野菜料理を余すことなく平らげた……いったいなぜ?
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