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リベラが現れてからというもの、私の日常は急速に変わり始めた。
彼女はまるで当たり前のように、私の部屋でくつろいでいて、私が何かを問うと気まぐれに返事をしては、それ以外のことは口をつぐむのだ。
あの夜のことだって、何がどうなってこうなったのか、結局何も教えてくれなかった。
「まあ、気にしないでよ」
と言うばかりで、あとは楽しそうに読書をしている。
ある日の放課後、帰宅してみると、リベラが窓辺で外を眺めていた。
その姿は、小柄で無邪気に見えるけれど、どこか遠い場所を見つめているようだった。
「リベラって、どこから来たの?」
思い切って尋ねてみた。
「さあね。君には関係ない場所だと思うよ。」
軽く肩をすくめる彼女に、私はなんとも言えない感情を感じた。
あの日から、放課後の帰り道で何処からか視線を感じるようになった。リベラを匿うようになってから、どうにも妙な出来事が増えた気がする。まるで私を何者かが見張っているような、そんな気配だ。
「…おかしいな、誰もいないはずなのに…」
振り返るも、そこには人気がない。ただ薄暗い路地が静かに広がっているだけ。胸騒ぎが収まらないまま早足で家に帰ると、リベラがいつもと変わらない笑顔で出迎えた。
「おかえり、透空。」
その笑顔に私は少しホッとしながらも、どこか胸の奥に言い知れぬ不安が残った。
もしかしたら、これが“特別”な日常への第一歩なのかもしれない。
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