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がっこう
ある朝、私はいつも通り学校に着き、教室で席についていつも通りぼんやりと始業を待っていた。その時、教室が急にざわめき始めた。私はクラスメートたちの声に気を取られていたけど…この時はまだ、まさかその理由がリベラだとは、夢にも思っていなかった。
「それじゃあ、みなさん。今日からこのクラスに転校生が来ます。」
担任の先生が声をかけた後、ドアが静かに開かれ、そこに立っていたのは透空のよく知る人物…まさかのリベラだった。
教室に入ってきた彼女は相変わらずの白髪と紫色の瞳で、透き通るような雰囲気をまとい、視線を集めるのも当然だと言わんばかりに堂々と立っていた。
「天咲夢月です。よろしくね、みんな。」
リベラが軽く頭を下げた途端、教室は瞬く間に騒がしくなってしまった。クラスメートたちは彼女の外見に見惚れ、あちこちから「綺麗…」という囁きが漏れている。その視線の中に驚きと興奮が混じっていたが、私だけは、目の前の光景が信じられない気持ちでただ呆然としていた。
…なんでリベラがここに?しかも…転校生って?しかもしれっと偽名使ってるし…
そもそも、戸籍も何も存在しないのに、一体どうやって?
リベラは私の視線に気づいたのか、わずかに目を細めて悪戯っぽく微笑んだ。
彼女が指定された席に向かうと、クラスメートたちは我先にと話しかけ始めた。「天咲さんって、どこから来たの?」「趣味とかある?」と、あちこちから質問が飛び交い、リベラはそれにいつものふわふわとした口調で応えている。
私は、周りの生徒たちがリベラの外見に完全に圧倒されているのを感じつつ、胸の中に妙な不安が広がるのを抑えきれなかった。
リベラが教室に入り、あっという間に注目の的となったその様子を、私はただ黙って見つめるしかない。彼女は外見が良いだけじゃなくて、頭も切れるし、何でもそつなくこなしていた。
先生が授業の内容について質問をすると、さらりと完璧な答えを返し、クラスメートたちのさらに熱い視線を引き寄せていた。私はその姿を見ながら、心のどこかで彼女がこの学校生活をどう非日常に変えていくつもりなのかを私は気にせずにはいられなかった。
放課後のチャイムが鳴り響くと、クラスメートたちがすぐにリベラの周りに集まってきた。「天咲さん、良かったら駅まで一緒に行かない?」「放課後、少し話したいんだけど…」と誘いの声が途切れることなく続いている。
私は、その様子を少し離れた席から見つめていた。リベラが手慣れたように応対しているのを見ていると、彼女の学校生活は順調に進んでいるように見えたけど、私にはそれが妙に気にかかってならなかった。
リベラがちらりとこちらを見て、軽く手を振ってきた。私は戸惑いながらも立ち上がって、リベラに近づいた。
「今日はどうする?このまま帰る?」
私が聞くと、リベラはほんの少しだけ微笑んで答えた。
「君と一緒に帰るのも悪くないね。」
その軽い言葉に、周りのクラスメートたちが少し驚いたように視線を交わす。
廊下を歩く二人の姿に、誰もが注目しているように感じられた。
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