1. 一両日

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1. 一両日

 帰宅してすぐに、自室のベッドに倒れ込んだ。その状態で手を伸ばし、クッションを集めて、足を乗せる。こうすると足のむくみが取れるとか、取れないとか。  卓実にメッセージを送らなければ。頭が働かない。何と送ったらいいのだろう。  制服のまま、ぼーっとしていたら、「また冷めちゃうから」と母に夕飯を食べるように催促される。折角温め直してくれたのに、全然、食欲がない。今日だけでいろいろなことがいっぺんに起きたから。学校祭準備の時に、同じことを思った覚えがある。それもやっぱり、卓実が原因だった。  結局、着替えて、食べてからメールを送った。われながら、対応が遅い。 From: 千葉(ちば) 咲恵(さきえ) To: 麹谷(こうじや) 卓実(たくみ)  遅くなってごめん。家に着いたよ(_ _;)卓実は? From: 麹谷 卓実 To: 千葉 咲恵  今日はありがとう。俺も家だよ。また明日ね。  思わず携帯電話をベッドに置いてしまった。ただの文字なのに、あまりの衝撃に耐えられなかった。「ありがとう」なんて初めて言われた。「遅いよ」とか送ってくると思った。なんかもっと、意地悪だったよね。こちらの気に障ることをいちいち言ってくる人だった。
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