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私は偽物で出来ている。
フランスのパリ生まれの帰国子女で、母は料理上手で美容に詳しいパリジェンヌ。
父は証券会社の役員をしている。
ということになっているが、
実際は母は父の酒癖の暴力に耐えきれず蒸発し、その父も日雇いの仕事で日々を食いつないでいた。
SNS上ではキラキラとしたブランドバックを買いました。など輝かしい投稿をしているが、実際はお金持ちの友人からもらったものである。
食事も友人からの奢りで、服やアクセサリーも有人から。
私は高校卒業をともに家を出でおりやっとつけた仕事は有名企業の派遣社員である。
その時に、代々社長をしてる息子と仲良くなり、家族にバックをあげたいようだったのを利用してわざと高い人を選ぶバックを選び、私が貰えるように工夫した。
利用してわたしはSNS上でセレブになっていた。
偽物私の賞賛するボタンとコメントは優越感と虚栄心を満足させていた。
ある日のこと、私の偽物がバレた。バラしたのは同じ会社の社員の新入社員の女性。
「こんなことして楽しかったですか?!」
と正義感が強い彼女はそういった。
そうね。楽しかったというより、理想の自分に酔えたから幸せだったけど辛かったよ。
それから社内で問題となり、女子社員に陰湿ないじめをされて男性社員には見ないふり。
友人以外は話を仕事以外の話をされなくなった。
「こんな人となんで付き合うんですか!?」
と正義感の強い彼女が言った。
「え?俺が好きだから」
友人がはっきりっと言った。
「プレゼントしたのも、良ければ好きになってもらえるとおもってたんだけど」
友人は私の頬を触られた。
そういえば服も私のサイズだった。
はじめて友人に私に恋心があることに気づいた。
「はじめて会った時いつもどこか遠い目をしてて気になってて、いつの間にかこの目を俺に向かって欲しいと思ってた」
私は彼の胸に包まれた。
「パリジェンヌじゃなくても、親がどうだとか、本当にどうでもいい」
周りのザワザワしているし、正義感の強い彼女の叫び声も遠くに聞こえる。
「結婚してくれ」
友人だとおもってた男の真剣な表情に私の目の前の景色がぼやけた。
頬につたうのが涙だと気がついて、ようやく私が泣いてるのを知った。
「嘘つきでもいい?偽物演じるかもよ?」
私の声は震えていた。
「そんなお前を好きになったんだ。一緒になってくれよ」
友人は涙を指で拭いてくれたけど、涙は止まらない。私は顔を抑えて友人だと思っていた彼にはいとうなづいた。
こうして、わたしは仕事をやめて、彼の婚約者として花嫁修業することになった。
彼は私の作る料理を美味しい美味しいと食べていて、私は幸せだ。
今はSNSを削除してしまった。どうやら私の性格は悪いらしい。
この幸せを独り占めしたかったのだ。
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