私の呪いを解いたのは

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 そして今、 「うう、痛」  足が痛くて私は座り込んでしまった。すると、 「おかあさん! だいじょうぶ?」  まだ四歳になったばかりの私の娘が、すぐに駆け寄ってくる。 「ありがとう。すぐ治るから」  私は微笑んでみせる。  娘が心配してくれるのは嬉しい。  だけど、 「大丈夫? 昨日ひねったって言ってたところ? でも、骨折とかじゃないんでしょう?何ヶ月も歩けなくなっちゃう人もいるんだから、もっと大変な人と比べたらいい方だと思わなきゃね」  母が私に言った。  今、実家に娘と二人で来ていたところだ。前からの約束だったし、娘もおばあちゃんに会いたいと言っていたから来てしまったけれど、今日はやめておけばよかった。  母にいつもの言葉を言われると、よけいに痛みが酷くなる気がする。それに、実は結構痛いところを無理して来た。  それなのに、だ。 「そうだね」  私はもう諦めたように返事をした。  心配してくれているんだかなんだかわからない母の言葉にはもう慣れているはずなのに、言われるとやっぱり疲れる。  なんでわざわざ人と比べなければいけないんだろう。  ただ心配してくれたなら、素直に受け取れるのに。
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