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子どもの頃から、なにか辛いことがあると母はすぐに言った。
「もっと大変な人がこの世の中にはいるんだから」
そっか、そんなものかと思っていた。
そうやって私は育った。
まるで、呪いみたいな言葉だった。
本当は、泣きたいときとか、悔しいときとか、痛いときとか、悲しいときとか。
そういうときに、ちゃんと話を聞いて欲しいだけだったのに。
もちろん、私がつわりで苦しんでいるときにも、
「もっと酷い病気で苦しんでる人だっているんだから、それくらい我慢しなきゃ」
母は言った。
違う、違う、違う。
だけど、いつものことだと私は受け流すことにしていた。
反論しても面倒なだけだ。
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