ニセモノの自分

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 「こんにちは!」 「こんにちは。いつも挨拶してくれてありがとう。」 「いや、普通ですよ。」 「ここの学校は挨拶が少ないからね。挨拶してくれるだけでも嬉しいよ。」  用務員の方に言われた。 「ありがとうございます。」  って言うとその場を去った。  そして、口角を素早く下げた。  私は、笑顔で取り繕っているただの陰気キャラな女の子だよ。 要するにニセモノの自分ということ。  私なんか普通だと、挨拶なんてしない。前の学校は、いじめられていた。 だから、皆なんかクソ喰らえ。ってずっと思っている。  多分、前の学校のいじめはよくあるいじめ。スクールハラスメントとでも言うのだろうか。学年には王女様がいて、その人に従わないとスクハラに合う。  そして、誰も味方がいないいじめられている側はとうとう我慢できなくて、転校するというシナリオ。もう決まっているのだ。  でも私は、これで転校したんじゃない。  私を変えたいから。陰気なキャラを全く無くして、陽気にするために。  だから、言うんだ。王女様に。 「お前なんて私より格下の最低な人間だ!」  ザマアミロ。そう言ってやる。  完璧なニセモノの自分になったら。
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