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「見ての通り、彼女は俺の子供を身ごもっているんだ。羨ましい話だろう? 故にこれ以上お前と偽りの結婚を続けるつもりはないのだ」
その浮気相手は妊娠していた。
なるほど、これが理由か。けど、実際にはそんなことは数ある理由の一つに過ぎないのだろう。彼は私に最初から何の興味も持たず、ただ政略結婚の義務を果たすためだけに私を迎え入れただけに過ぎない。
世継ぎすらも「そんなもの、今は必要ない! 破廉恥な事をほざくな!」と言い放った程だ。
それからも何かと理由を付けて寝室を共にする事を拒否。その過程で、何故か私は子供を埋めない出来損ないだとか義母に言われる始末だ。
そして自分好みの新しい玩具を見つけた今、不要になった私は捨てる。つまりはそういうこと。
「分かりました。こちらとしても断る理由はありません、離婚致しましょう」
私は感情を表に出さず、静かに了承した。
「……本当に、それでいいのか?」
拍子抜けしたのか、エドモンドが眉をひそめる。
なんて態度だ? 反吐が出そうになる。
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