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私と彼の出会いは本当に偶然。彼と無くなった奥様との間に生まれた幼い娘――ルルシエが迷子になっていたところを私が助けたのがきっかけだ。
それ以来、彼とは親しい関係を築いていた。
「な!? 何故侯爵が此処に!? う、浮気をしていたのかリュシア!!」
「……聞くに堪えんな。エドモンド子爵、貴様の所業はすでに耳に入っている。この場から直ちに立ち去らなければ、だ。当然それ相応の処罰を受けることになる。そのくらいは流石に理解できるだろう?」
アルフォンスの厳しい声に、エドモンドは怯えた様子で後ずさりする。
「くっ、覚えていろよ!」
つまらない捨て台詞を残し、彼は逃げるように去っていった。
しかしその台詞を最後に、彼の姿を見かける事は無かった。
借金がどうにもならなくなり、国へ爵位を返上するまでに落ちぶれたらしい。
「救えない人間はどこまでも同じね……」
哀愁の混じった溜息と共に、私は呟いた。
その後、私はアルフォンスとルルシエに温かく迎え入れられて家族同然の関係を築くようになった。
それからは二人の間に愛が生まれるのも自明の理。
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