アンドロイドアンドアンドロイド

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人は愚かだ。 争い、傷つけあう、汚れた生き物。 僕は人のような過ちを犯さぬよう育てられた。 だからこそ僕は、作成したアンドロイドに誠実さを教え込むことができた。 正しさだけを学習させて育てていった。 「ご主人様、この星に我々以外は、いないのですね」 「そうだよ、戦争と汚染を繰り返して滅んでしまった」 この緑豊かで青空の広がる清らかな空気の地。 それに戻るのに、五千年もかかったのだ。 更に一万年の時が過ぎた。 アンドロイドとしての僕の寿命が尽きようとしている。 そこへ異星人が探索にきた。 人に似た容姿で丁寧に挨拶をしてきた。 アンドロイドの誠実さに感銘して「この星の住人は素晴らしい、移民したい」 と、言ってくれた。 こちらからも調べてみたところ、とても善人な民族のようだ。 「ご主人様、アンドロイドを完成させました」 僕は制作技術も教え込んでいた。 「このアンドロイドを清く正しく育てて欲しい」 「もちろんです。ご主人様が私を育ててくれた通りに」 僕は安心して脳の回路のスイッチを切った。 作られたアンドロイドは清く正しく育てられるだろう。 移民してきた民族は地球を愛しつつ、平和に過ごしてくれるだろう。 そうして一万年ごとにアンドロイドが作成されて交代していく。 もしかしたら寿命を延ばす開発をしてくれるかもしれない。 どうしても人はダメなのだ。 この地球の『正しさ』は、育てられたアンドロイドによって。 永久に語り継がれていく。 ――完――
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