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そこを通り抜けやっと玄関に辿り着いた。
大きな扉を開けると(おぉぉぉ~)と声を上げそうになる。
広いポーチに豪華な彫像や花瓶床は大理石だろう。ピカピカに磨かれている。
その大理石に高い窓から光が折り重なるように差し込んで幾重にも美しいグラデーションを描いている。
私は思わず後ずさりする。
「ベルナンド子爵令嬢、お部屋にご案内いたします」
執事はきちんとした身なりで礼儀もしっかりしていた。
私はそこでも内心大きなため息をつきながら自分の身なりを再チェックした。
ドレスは落ち着いた薄紫色。首元もしっかり詰まっていてドレスの膨らみの抑え気味で華美な装飾もない。
亜麻色の髪は金色に茶色を溶かしこんだような色合いの髪。どこにでもある平凡な髪をきちんと束ねてある。
瞳の色はピンクゴールドと言われる変わった色。昼間は淡いピンク色だが暗がりで見ると猫の瞳のように金色に光るらしく気味悪がられる。
私は切れ長の目なので余計に冷たい印象を与えるらしく、前の嫁ぎ先の母からも冷たい嫁だと言われた。
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