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「弘美、弘美、大丈夫?そこから動いちゃダメよ」
美紀はブレーカーを見ようと立ち上がった。
「暗くなったねえ、これで誰にも見られず食べられるねえ」
弘美が言ったあと、食器とフォークがぶつかる音がした。
「弘美、なにも触らないで、危ないから!」
「みひろ、パパ、おいしい?」
誰かが、夕飯のナポリタンスパゲッティを食べている。
「パパは、もういないでしょ!」
美紀は叫び、洋室マンションにおいて一つだけある和室へと向かった。
そして仏壇のライターを探り当て、着火してロウソクに火を付ける。
それをロウソク立てに刺して持った。
「パパ、ここにいるよ」
ゆっくりと弘美の座る席へとロウソクを向ける。
正雄が、弘美のそばの椅子に座り、弘美の夕食をフォークを使って
食べながらこちらをみた。
口いっぱいにパスタをくわえて
「いやあああああああっ!!」
叫びながらも冷静にロウソク立てをテーブルに置く。
人形のみひろはテーブルに立っていて、口元にナポリタンのソースを
つけていた。
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