4人が本棚に入れています
本棚に追加
後日、本当に殿下から求婚が来ました。奇跡の聖女を妻に迎えたい、と。
自分には断じて奇跡の力などありません。何もしていません。
なのに聖女と呼ばれ、殿下に結婚を申し込まれるなんて!
両親は大喜びでした。
私には恐怖でしかありませんでした。
とにかくも王宮に参上しなくてはならない、と両親に言われました。私と両親は一番いい衣装を身に纏い、指定された日に王宮へ行きました。
すぐに宮殿内へ導かれ、私はさらに別室へ案内されました。
どうして私だけ別室なのでしょう。
どうやら王子の私室のようですが、どうして……。
一人で不安になっているところへ、王子が現れました。
慌ててお辞儀をすると、王子は鷹揚に頷きました。
「今回は求婚に応じてくれてうれしく思う」
まだ返事してないのに、と内心焦ります。
「来たということは承諾したということだろう?」
「そのことですが、殿下……」
「それ以外は認めないよ、聖女さま」
殿下はいたずらっぽく笑いました。きゅんとなる笑顔でしたが、今はそれどころではありません。
ふざけんなボケ、と言いたくなるのを必死にこらえます。こっちの意志を無視してんじゃねえよ。
最初のコメントを投稿しよう!