1章

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1章

人に親切にできる人はすごいと、僕は素直に思う。 必ずしもする必要のないことに自分の意識を向け、自分の意思で人の役に立とうとする行為は、なかなか簡単にできることではないと、僕は嫌味とかではなく素直にそう思う。 大人は他人に親切にしろだとか、他人の役に立つことをしろだとか言ってはいるが、それは大人のエゴだろう。 きっとそんなことを言っているやつに限って、子供の頃は誰にも親切にできないようなやつだったに違いない。 だから僕はそんな大人のエゴにしたがって無駄な親切や優しさを振り撒くことは嫌いだった。 当然、やらなければならないことは仕方なしにこなしてきたつもりだが、正直なところ僕は他人の意見には全くもって流されたくないという強い意志があった。 だから他人という存在には極端に興味が湧かない。 話が少し逸れたが、『親切』の話に戻る。 僕は、物心ついた頃から人に親切にするなどという考えは持っていなかった。 大抵の問題は自分の力でなんとかなるし、誰かが困っていても偶然と時間が解決してくれる、なんていうのはよくある事だ。
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