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それなのに誰かが『親切』だといって、クリアできたかもしれない壁に無理やり手を出そうとする。
こういう世話焼きがいるから世の中の出来事は大抵円滑に進むのだなと感謝するが、同時に僕には絶対に真似できた行為では無いと思った。
____ガタンッ!_____
後ろで遊んでいた男子生徒二人が教室の椅子を一脚倒した。しかしそんなことには気にもとめず二人は未だに戯れ合っていた。
それを嫌な顔せず、元あった位置に戻す女子生徒。
すると二人は元気よく「ごめん、ありがとう!」とだけ言って再び戯れあい始めた。
女子生徒は男子たちに向かって「どういたしまして」と微笑みながらかえすと再び自分の席で他の生徒と話し始めた。
これも僕が親切を嫌う理由の一つだ。
親切にする側もされる側も慣れが生じ始めるとそれが当たり前なのだと心の奥底で思い込んで、それが無責任かつ非常に不思議な状況であることに気づかなくなる。
ここで厄介なのは親切にする側ですらこの状況に対して疑念を抱かないことだ。
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