1章

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「親切にされた側は親切にされることを当たり前だと思ってるから君がやっていることはもしかしたら自己満足かもしれないよ。」 彼女は先程より悲しそうな顔を露骨に見せ始めた。 しかし彼女は、それでも構わないと言って 「教えてくれてありがとう。」と一礼して僕の前から去っていった。 __________ああ、何でこんなこと言ったんだろう。_________ 教室に戻ると皆、先程までのことなどなかったかのような感じだった。 しかし、彼女といつも一緒にいる友達のうち一人から刺されるような視線を感じた。 僕はその視線に気づきながらも見て見ぬ振りをし席に戻った。 ______あいつも良い人のふりしといて直ぐに友達に言いふらすのか。______ そう思ったが、特段イラつくほどのことでもなく僕はまた直ぐに自分の世界に戻った。      * あんなことがあってから二週間ほどが経った。 学校ではテストの時期になり皆焦りつつも不満を垂れ流す光景が多く見られるようになった。 「ノート、コピー取らせてくんない?」 いつも授業中寝ているやつに限ってこういう時は動き出すのが早い。
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