ハッピーエンド

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 私が松宮さんに呆れ果ててから一年過ぎた暑い7月のお昼の事だ。 「あの、すみません。相談があるのですが」と声が響いた。入り口を見ると50歳前後の女性が立っていた。 「どうぞ、こちらに」と私は言い、カウンターに向かった。 「すみません。今日は松宮さんは居ないでしょうか?」と女性は言った。私は眉間に皺が寄りそうになるのを抑えた。 「今、呼んで参りますので、お待ち下さい」と私は言った。多分、無愛想じゃないはず。  松宮さんは奥のスタッフルームで休憩中だ。でもまあ、仕方ない。いつも調子の良い事ばかり言っているのだ、休憩を中断して貰おうか。  私はノックし、「松宮さん、ご指名です」とドア越しに声を掛けた。一呼吸置いてくぐもった返事が返ってきた。昼寝をしていたのだろう。この前、15分の昼寝は午後の仕事の効率を上げるなんて言っていた。また何かの本の受け売りだろう。
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