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「御義母様のお世話が嫌で仕方が無いのですね」
静かな薬局に穏やかな声が響いた。その言葉を耳に入れた私は嫌な気持ちになる。パソコンの画面に薄っすらと反射して見える私の顔は、苦い粉薬を口いっぱいに詰め込まれたような顔をしていた。
「でも、嫌で嫌で仕方がなくても、貴女の身体は動いて、御義母様のお世話をしているんですよね」
声の主、先輩薬剤師、松宮さんは効果的に言葉を切った。やれやれ。あーやれやれ。
「嫌で嫌で仕方ない貴女の身体を動かしているエネルギー、なんて言う名前だと思いますか?」
また松宮さんは言葉を切った。画面に反射している私の顔にはさらに皺が寄っている。きっと私は同期よりも速く老けるだろう。まだ2年目なのに。
「『優しさ』って言うんですよ。貴女は、優しい人、です」
湿った声で何かモゴモゴした女性の声が響き、松宮さんの声がさらに響いた。
松宮さんの言葉は『優しい』じゃない。
『優しげ』なんだ。
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