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「ちょっと、ユウゴ。ちゃんと結界を張ったの?」 「俺は仮にもおまえの父親だ。その言葉遣いを改めろ」  園内(そのうち)花梨(かりん)は、目の前で繰り広げられている光景を疑うかのように、ゆっくりと目を瞬いた。  だが、瞬いたところで現実が変わるわけでもない。 「おい、そこの女。そこから動くな。いいな」  整った顔立ちの男性に命令口調で威圧的に言われ、花梨は思わず直立不動の姿勢をとる。  何が起こっているのか、さっぱりわからない。  それよりも、コンビニで買ったアイスが溶けてしまうほうが心配だ。  右手に握りしめている買い物袋の中には、妹の七菜香(ななか)が『はぁ? ないならさっさと買ってくればいいじゃない』とソファで寝転びながら命じた、大福のもちもちっとしたアイスが入っている。  それにしても、ここではいったい何が起こっているのか。  先ほどから走り回っているのは成人した男性と小学生くらいの女の子。まさか、こんな時間に鬼ごっこをしているわけではないだろう。  走って、立ち止まり、何かに向かって念じる。 (あ……もしかして、妖魔?)
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