9人が本棚に入れています
本棚に追加
お家
おじさんは私をお家に連れて入ってくれた。お庭のある一軒家。
家族がいるのかと思ったんだけど、一人暮らしらしい。
小さな箱があった。おじさんのお父さんが入ってるって、木の板を見せてくれた。ずいぶん薄っぺらなお父さんだ。
おじさんは、その薄っぺらなお父さんのいる箱に、ミニミニご飯とお水を毎日あげてる。大事にしてる。まあ私の次にだけどね。
だから来てすぐちょっとパニックになって大騒ぎしたときも、この箱だけは避けてあげた。
「仏壇だけセーフで良かった。えらいぞ!」
おじさんは雑巾であちこち拭きながら褒めてくれた。
それほどでもないけどね。
あと、お姉さんになったから、そこまではもうやらないけどね。
やらないって言ってんのに、広い家は全部私のものだって、おじさんは6畳のお部屋に大事な物を全部詰め込んだ。
サロンには月2回。お散歩は朝とおじさんが帰って来てからと、夜寝る前の3回。幼稚園の先生も月1回来てくれる。
おすましして先生の言う事はきちんと聞くの。
「……ちゃんとできるのに、なぜ俺にはそんな態度?」
困惑してるおじさんの顔を見て
「やりゃあできるところを見せてあげてるのよ」
ってふんってすると
「まったく、やれやれ」と言いながら笑ってる。
最初のコメントを投稿しよう!