1)アイツより、俺を見ろ

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―――「……塚、鬼塚!」 「あ…はい!」 「鬼塚 結芽(おにづか ゆめ)……君は先ほどから何を見ているんだね?外には何かあるのかね。」 「あ…いえ…」 古典の授業中、ずっと窓の外を見ていた私。 長いこと見ていたせいか、古典の担当教諭に注意されてしまった。 「まったく…君は高校2年生にもなって、まともに授業が聞けないのか?」 「すみません…」 「…もういい。今からはちゃんと授業を聞くように。」 古典の担当教諭は私に釘をさすと、教卓の方へと歩いていく。 私は教諭の後ろ姿を見つつも、窓の下に視線を向けた。 外では男子生徒がハツラツとした顔でサッカーをしている。 その中に、所々が緩くカールした黒髪の男子生徒が一人。 何度もゴールポストにボールを送り、同じチームであろう男子生徒たちとハイタッチをしている。
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