1)アイツより、俺を見ろ

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――「結芽!」 真っ黒な髪の毛をフワリと揺らし、私の元に走りよる。 「玲央…」 私よりも頭一つ分以上高い彼を見上げる。 「さっき、俺らのこと見てただろ?」 人懐っこい笑顔を向ける彼は、とても楽しそうだ。 「…バレちゃった?」 「うん、バレバレ。もしかして、俺を見てた?」 ……玲央は、時々心臓を捻り潰すようなことを言う。 けれど私は何も言えなくて。 結局は無理矢理笑ってやり過ごす。 「だって玲央…凄く楽しそうなんだもの。つい、玲央を見ちゃうのよ。」 「俺、そんなに楽しそうだった?」 「うん、凄く。」 「ははっ!俺、サッカー大好きだから。」 大好き、という言葉に過剰に反応してしまう…。 ……玲央。 貴方はとても酷い人ね。
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