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――「結芽!」
真っ黒な髪の毛をフワリと揺らし、私の元に走りよる。
「玲央…」
私よりも頭一つ分以上高い彼を見上げる。
「さっき、俺らのこと見てただろ?」
人懐っこい笑顔を向ける彼は、とても楽しそうだ。
「…バレちゃった?」
「うん、バレバレ。もしかして、俺を見てた?」
……玲央は、時々心臓を捻り潰すようなことを言う。
けれど私は何も言えなくて。
結局は無理矢理笑ってやり過ごす。
「だって玲央…凄く楽しそうなんだもの。つい、玲央を見ちゃうのよ。」
「俺、そんなに楽しそうだった?」
「うん、凄く。」
「ははっ!俺、サッカー大好きだから。」
大好き、という言葉に過剰に反応してしまう…。
……玲央。
貴方はとても酷い人ね。
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