1)アイツより、俺を見ろ

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「玲央くーん!」 ニコニコとしている玲央の後ろから、近付いてくる人影。 人影の正体は可愛らしい女の子。 女の子は軽やかに走ってくると、玲央の腕を掴んだ。 「…莉奈。」 「玲央くん、早く教室に行こっ!」 莉奈と呼ばれたその子は、可愛らしく言いつつも私を睨む。 彼女は玲央が私と仲良くするのが気に入らないようで、私はよく彼女に睨まれていた。 まぁ… 私も彼女の立場であったならば、彼女のようにしていたかもしれない。 彼女の立場――玲央の“彼女”。 私が欲して止まない、その立場。 だけど私がどれだけ欲したとしても、手にはいることはないから。 「あ…ごめんなさい。私、もう行くね。」 現実から逃げるように、彼女の睨みから逃げるように。 私は玲央と彼女に背を向け、歩き出す。
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